甘草の研究成果
私たちはこれまで、甘草の畜産分野への応用について様々な研究を重ねて参りました。ここではその研究成果の一部をご紹介致します。
そもそも甘草とは?
甘草とは、東はアジアから、西はヨーロッパまで、広い範囲に分布するマメ科の植物です。生薬としては根っこが用いられ、名前の通り大変甘く、砂糖の150倍ほどといわれております。
その歴史は長く、遙か数千年前から人類に使われ始め、日本では漢方薬という形で馴染みの深い植物です。またその働きについては様々あり、抗炎症、肝機能保護、鎮痙作用など、幅広く知られております。
繁殖障害改善
畜産業界にとって、繁殖成績が低下する事は経営に関わる大変な問題です。しかしその原因については多岐に渡り、現場において特定する事は難しいのが現状です。
私たちは臨床現場を中心に試験を重ねて参りました。その際、餌の指導、飼養環境の指導については行いませんでした。
その結果、多くの農場で行ったにも関わらず、好成績を収める事が出来ました。(下図。成功率はAI二回までの数値)
その後も試験を重ね、性ホルモンの動態についても好影響を与える事が分かって参りました。また症状を絞って①卵巣静止、②リピートブリーダーについても試験を行った所、6割以上の改善率を達成しました。この事を受け、特許を出願させて頂きました。
また、いくつかの知見の中で、精子奇形率の低下や精子活性能の向上、一年以上乗駕行動を取らなくなってしまった雄種牛が一週間程度で再び取るようになったなどの経験も得られております。この間ホルモン剤を用いておりません。
甘草の使用によって、薬剤の使用率が低減できる可能性があります。
免疫に関わる働き
私共はこれまで、大学・研究機関の協力の下、免疫に関わる働きについて調査して参りました。結果として、畜産の現場において、甘草を用いる事で炎症などを和らげる働きが示唆されました。
以前より甘草には消炎作用などが知られておりましたが、畜産の業界でもお役立て出来そうです。詳しく知りたい方は、是非お尋ね下さい。
甘草を使った実例として、慢性化してしまった下痢に対して改善効果、牧場全体で流行してしまった真菌症に対して抗生物質と併用した所、三日程で皮膚組織の回復が見られるようになったなどがあります。
また、原因不明の湿疹を起こしてしまった馬に対して給与した所、一週間後には治まった事例もあります。
生理機能向上
その他、様々な生理能力について、臨床現場から報告を頂いておりますのでまとめさせて頂きます。
食欲向上が多くの現場から報告頂いており、それに伴う結果として毛艶改善、生乳生産能向上、虚弱体質の改善、病気予後の早期回復などが見られました。
子牛の下痢に対して使った所、治まる例も確認されております。
また、大学との共同研究では、子牛のIGF-1分泌の向上などが確認されており、子牛の健康的な成長についても役に立てる事が示唆されております。
各種試験は、北海道から沖縄まで、広い範囲で行っておりますが、いずれでも好成績を収めております。
これら三つの研究成果から、私共はこのような事を考えております。
自然物で問題を予防し、安定した農家の経営に役立ちたい。より健康的な畜産物の生産を応援し、消費者の皆様へ安全をお届けしたい。そう考えております。